一夢で二度おいしい










「…響也ー」
「ん…」
「響也さーん」
「んんっ…?」

響也はゆっくり目を開けると、すぐ目の前にはの顔が。

「うあっ!?」

驚きのあまり、体を起こして離れようとするも
それができないようにはぎゅっと抱き着いてくる。

「もう、今日デートなのに、何寝坊してんの」
「わ、わかったから、ちょっとラウンジで待ってろ、な?」

ぎゅっと抱き着いているを引きはがそうとするも離れてくれない。
首に腕を回されているため、首元にの吐息を感じる。
必死に理性を働かせて我慢するも、そろそろ限界がきそうだった。
それでも、最後の力を振り絞り、の両肩に手をおいて、体を離そうとする。

「…ねぇ、響也」

両肩に置いた手にそっとの手が触れる。
その手はいつもより熱くて、瞳も熱を帯びていて。

(っ…)

その仕草に俺は生唾を飲み込んだ。
鼓動はうるさいぐらいに早くなって大きくなって、今にも心臓が飛び出そうだ。

(我慢、我慢…)

そう何度も自分に言い聞かせて、どうにか落ち着こうとするも
そんな俺の気持ちも知らずに、はうるんだ瞳で俺を見つめてくる。

「…響也大好き」
「なっ?!」
「…だから、しよ?」

付き合ってからしばらく経っているものの、2人ともまだそういう経験はない。

今まで何回かチャンスはあったと言えばあったものの、二人とも初めてということと
響也の長年の片思いが成就したからか、大切にしたいという気持ちが強すぎて手が出せなくて今に至る。
しかし、そうやって今までがんばって抑えてきたものは、あっけなくの一言で崩れ去った。

そして、響也はそのまま勢いでをベッドに押し倒したのだった。
































「響也ー」
「…ん?」
「…にやにやしてるいやらしー響也さーん。おきてくださーい」
「んんっ!?」

目を開けると、すぐ目の前にはがいる。

(ーーーあれ、今さっき抱きしめて…?)

少し疑問に思いながらもそれ以上に気分が高まっていて、正常な思考は期待できない状況だった。
そのままの腕をつかんで自分の方へ引き寄せると、
は体勢を崩して響也の上に覆いかぶさるようにして倒れる。

「きょ、響也?……んっ!?」

の顎を優しくつかんで、口をふさぐ。
響也からの突然のキスには驚いて目を丸くする。

「んっ…ふっ」

いつものキスとは違う、少し荒々しい深いキスを何度も落とされて
もくらくらしていた。

そんなの体を抱きしめたまま、一度起き上がりをベッドに仰向けに寝かせてその上から覆いかぶさる。
突然ベッドの上に寝かされたは、顔を真っ赤にしながら目を潤ませて響也を見つめていた。

「…お前がしよ?ってかわいく言うから」
「え?」

響也がさっきから何をいっているのかわからず、混乱したままどうすることもできずに固まっていた。
いつもと違って余裕がない目をしていて、息が荒く興奮していて、例えるのであれば、まるで獣のようだった。

「あ…っ」

そして、耳を甘噛みされて、はびくっと体をこわばらせる。

「…優しくするから」

余裕のない響也から耳元で囁かれた言葉に、与えられている熱ですでにくらくらしていたは、小さく頷いて目をぎゅっとつぶった。
































「響也の馬鹿!変態!私そんなこと一言も言ってない!!!」
「う…」

情事の後、冷静になった響也は事の発端は自分の夢であることを理解した。

は響也のベッドの端で布団にくるまり、頬を膨らませて壁の方を向いていた。

2人にとってはじめての行為。

付き合ってからいつかは、と思っていたがこんなムードもかけらもないような
しかも半分寝ぼけていた彼氏にはご立腹だった。

「…すいませんでした」

今回ばかりは全部自分が悪いため、響也はベッドの端で
まるで怒られた小学生のように正座をしてうなだれていた。

子供のように反省している姿をちらっとみて、は響也に気づかれないように小さく笑った。
そして、布団を鼻が隠れるぐらいまでかぶって、落ち込んでいる響也の顔を下から覗き込む。

「?」
「…これからもずっと一緒にいてくれるなら許してあげる」
「っ!」

それはまるでプロポーズのような言葉で、響也はまた胸の鼓動が高鳴るのがわかった。

(あー…ほんとそういう可愛い発言わかって言ってんのかよ)

布団をかぶって顔を赤くしているに、また響也の中で理性が崩れていく音が聞こえた。
がかぶっている布団をはいで、そのまま口を優しく塞ぐ。

「ん…っ」

唇が離れると、響也はの額に自分の額をくっつけたままを見つめた。

「き、響也?」

響也の熱を帯びた目には悪い予感がした。

「…
「ちょっ…!?まだ許してなっ…」

の言葉をさえぎるように響也はをぎゅっと抱きしめる。

「お前の一生の責任取るから、だから―ーー」












ごめんなさい
もう一度、いただきます







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響也と主人公が付き合ってからの休日の一コマ。
響也も高校生なので、そういう盛んな年頃というお話です…orz

私が書く響也はへタレになってしまうので、初体験は普通にしようとすると多分できなくて(したいけど、チキン)
たぶん何かの勢いで強引にするんだろうなっていう妄想をSSにしました。

もうちょい甘さ控えめなネタのSSを書いていたのですが、
響也SS書きたくなって書き始めたらこんなことになりました。

そのうち響也R-18ネタがおもいついたので書く予定です。
読んでいただきありがとうございました。

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