君の隣で











「はぁ、まじかよ・・・」

響也は目の前のソファの端で小さくなって寝ているを見つけて苦笑した。
彼女の顔を覗き込むが全く起きる気配がない。

昨日も2人が付き合って初めて迎える正月と、意気込んでいた
デートの待ち合わせ時間にもかかわらず同じように眠っていた。
目が覚めたのは夕方で、結局彼女が行きたい場所に行くことができず、足湯に行くことになった。

リベンジとして今日こそは初詣に行こう、そういって1時間後に集合と約束して
各自部屋に戻って支度をすることになったのだが
待ち合わせの場所についた響也の目の前には昨日と同じ光景があった。

「ほんと、らしいっつーかなんというか・・・」

小さなため息をつきながらも、響也は毛布をとりに部屋に戻った。













取ってきた毛布をにかけると、響也はそのまま彼女の隣に座り、
読みかけの漫画を読むことにした。

静かな時間がゆっくりと過ぎていく。
2人の関係が変わってからまだ間もないが、
こうやって恋人として2人傍にいる時間は響也にとって、幸せな時間だった。

「ん・・・」

は眠ったまま身じろぎをして、隣に座っている響也の肩によりかかる。
突然、肩に暖かいぬくもりを感じ、
響也は少し驚いたのか読んでいた漫画を閉じて、の顔を覗き込んだ。

「また、オレを湯たんぽと勘違いしてんのか?」

ふっと顔を緩ませるも、肩から感じるぬくもりに顔が少し赤くなる。



『恋人』という関係



のんきに寝ているを見ていると、
自分だけが意識しているような気がして、少し悔しくなったのかの頬を指で優しくつついた。

「・・・っぷ、ハムスターみてー」
「んー・・・」

指の感触がくすぐったいのか、は眠ったまま、また身じろぎをしてさらに響也によりかかる。

「うおっ!?」

そのまま響也の胸の中にすっぽりと納まる形になり、響也はその状況に顔を赤くして慌てる。

そんな響也の気持ちなど全く知らないは、まだ夢の中のようで
のんきに寝息を立てていた。

「あー、・・・びっくりした」

どきどきと鼓動が高鳴って、もっと触れたいという気持ちが溢れ出してくる。

響也はぎこちなく胸の中で眠るを抱きしめた。
こんなに小さかったっけ、そう思いながら抱きしめる力を少し強めた。

は寝息を立てながら、響也のぬくもりに安心したのか顔を緩ませていた。

「・・・・響・・也」

寝言で自分の名前を呼ぶ
小さいころから何度も同じような寝言を聞いたはずなのに、今まで以上に愛おしいと感じる。

「・・・・

そして呼びかける名前ですら魔法がかかったように、胸が締め付けられるぐらいうれしい。

「・・・だ・・・い・・すき・・・」
「なっ!?」

突然小さく聞こえた彼女の寝言に、とどめの一撃を指され、さらに響也は顔を赤くさせた。
真っ赤になった顔と高鳴る鼓動はしばらく元に戻りそうもない。

「ったく、どうせ俺はお前に一生振り回されるんだろうな」

そういいながらそんな2人の将来が楽しみで仕方ない自分がいる。

これからも、ずっとこんな風に一番近くにいたい。
柄にもなくそう願いながら、響也の意識も微睡の中に溶けていった。
















「やれやれ、公共の場にも関わらずいちゃつくとは」

仁亜は少し離れた所からカメラを構えて、そんな2人のやり取りを遠くから見つめていた。

「・・・当分ネタには困らないな」

そういって笑顔で2人の方にカメラを向けて何枚かシャッターを切る。
後日、その写真を巡って響也と仁亜がバトルするのはまた別のお話。








------------------------------------------------------
コルダ4の響也の想い、想われEDクリア後のスペシャルをみてのSSです。
とことんマイペースな主人公に振り回されても
響也は隣にいるんだろうな〜と妄想が止まらず・・・。

でもスチルもイベントもコンプができなくて切ないですねー。
響也の好きな曲を後半演奏してて想われパラメータが高くなりすぎてんのかな・・・。
もうそろそろ攻略本が欲しい今日この頃です。

topページへ戻る