One more chance




「はぁ・・・」

コンビニで買ったクリスマスケーキとチキンやお惣菜を目の前にして俺は大きなため息をついた。
その様子を見て目の前で笑う彼女。

「ほら、食べよ」

そういってジュースが注がれたグラスを俺の目の前に突き出してくるから、
俺はそのグラスに自分のグラスを合わせた。
















今日はクリスマスイブ。
合奏団のクリスマスコンサートの後、気になっていた彼女を思い切ってデートに誘った。

バイトでためたお金をここぞとばかりに使って
おしゃれなレストランのディナーを予約し、その帰りにイルミネーションを見る。
それで彼女に惚れてもらえたら、といろいろ準備をして、いざみなとみらいで待ち合わせ。

しかしいろいろな不幸が重なって、待ち合わせ場所に4時間遅れて到着。

みぞれまじりの雨が降る中、彼女は傘をさしてずっと外で待っていてくれて、
俺の言い訳に聞こえるような理由ですら、怒ることなく最後まで聞いてくれた。
その後、今までに見たことがないぐらい優しい顔をして言った。


『無事でよかった』と。


その瞬間胸の奥底で、何かはじける音が聞こえて。
いつものように、ぎゅっと抱きしめたいのに、抱きしめることができなくて。


『ダメだよ、俺ホント泣いちゃうから・・・』


彼女の言葉
びしょ濡れの俺の体がさらに濡れないように向けられている傘
1つ1つの君の優しくて温かい言動に胸がいっぱいになって

ぎゅっと胸が締め付けられて苦しいような
愛しいという想いがこみ上げて涙があふれてしまいそうな
初めて感じる感情があふれ出す


『君のことホントにホントに好きみたいだ・・・』


ふと漏れてしまった気持ち

好きになってもらいたくて必死に努力してたのに。
気付けば自分がもう彼女を好きで、恋に落ちていることに気付いた。

びしょぬれでかっこ悪い自分。

だけど、今日は彼女を放したくない、そんな気持ちから必死に言葉を絞り出す。

『・・・今からでも一緒にクリスマスしてくれる?
チキンかって、ツリー見て、君と一緒にクリスマス過ごしたい』

俺の精一杯のお願いに、君は『もちろん』とほほ笑んだ。























そして、菩提樹寮の塔の部屋でふたりだけのクリスマスパーティが開催された。
ベンチに並べられた食事をはさむように向かい合って座る。

「おいしいね〜」

は目の前の料理をおいしそうにほおばりながら、幸せそうな笑顔を見せる。
新も一緒に料理を食べるがいつもよりも元気がなく、箸が進んでいない。

そんな彼を心配になっては新をじっと見つめた。

「新、どうしたの?」

その言葉に新は今にも泣きそうな顔で答えた。

「俺かっこ悪いなって・・・思って」
「何が?」

彼女の想定外の反応に、新は目を丸くして驚いた。

「だって、クリスマスなのに、君に何もしてあげれてないし、かっこ悪いとこしか見せれてない」

そういって再度大きなため息をついた新。
その様子をみては笑った。

「え、そこ笑うとこ!?」
「だって、新でもそういうこと気にするんだなって思って」

はクリスマスケーキをほおばりながら彼の顔を見る。

「新たはかっこ悪くないよ。今日だって別に時間には遅れたけど、ちゃんと待ち合わせ場所に来てくれたし。
一生懸命今日のプランいろいろ私のために考えてくれてたんでしょ。それだけで私うれしかったよ」
「・・・・・・・っ」

新はまた涙がこみ上げてきそうになった。
さっきのみじめだなと思う涙ではなくて、うれし涙。

思いがあふれ出して、制御が聞かない。

ただ、好きとしか言えなくて。


「俺、ほんとにちゃんが好きみたいだ」
「はいはい」

その言葉を聞いてもいつものように軽くあしらう彼女に、新たは拗ねるように口をとがらせた。

「・・その顔は信じてない顔してる。俺は本気だよ?本気なんだからね」

必死になって反論する新の無邪気な様子に、は安心したのかほほ笑んで、小さな声で呟いた。

「じゃぁ、待ってるから」
「え?」
「・・・ちゃんとした告白」
「え?!そ、それって・・・」

驚いて顔を赤くしている新をみて、も顔を赤くなったのをばれないように目をそらした。

「なーんてね、早く食べないと全部食べちゃうよ」

そういってケーキをおいしそうにほおばるの目の前で新たは顔を赤くして口をぱくぱくしている。

ちゃん、さっきの・・・」
「ほら、いいから食べる!」

新たが何かをいいかけた時、その言葉をさえぎるようには、新の口をめがけてチキンを突っ込んだ。

「むぐっ」

口の中にチキンを突っ込まれても、それをうれしそうにほおばる新。

「むぐっむごむごごごごむごっ!」(絶対リベンジするから!)
「新、食べたまましゃべんないで!」

聖なる夜に幸せな笑い声が響きわたる。
降り続いていた雨はいつの間にか止んでいて、
窓の外には星がきらきら瞬いていた。

それはまるでこれからの二人の幸せを祝福するかのように。






















きっと君を幸せにするって約束するから。

もう一度だけチャンスをください

彼女にこの溢れだす気持ちをつたえるチャンスを


--------------------------------

新イイ!1年生ズの中で1番好きでときめいてしまいました。
コルダ4の想われ√がすごくよかったのですが、マイナーCPなのかな・・・。
もっと新×主人公萌えしたい今日このごろ。

想い√よりも想われ√がしっくりきて妄想が膨らんでクリスマスイベント後のネタです。
それにしても、新の頭をなでる感じが大きいわんこって感じでいいな。
っていうか一番最初のくじ引きのイベントでやられました。





topページへ戻る